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■若年層の就職活動を支援 |
「ジョブカフェ」とは、ひとことで言うと、15歳から34歳以下の若者を対象とした、就職支援の機関です。支援のセンターということでは、今までもいくつかありましたが、ジョブカフェの新しい試みは、官民協働モデルであるということ。官が就職に関する支援を行い、民が実際の職業紹介を行う、日本で初めての機関です。 リテラシー・スキルが、強く求められる昨今。あふれかえる情報の中から、正確で最新、そして自分にとって必要な情報を取る力が、今の就職活動においてはもっとも必要と言われています。情報だけ詰めこんで準備して、「さあ使いなさい」では、かえって混乱してしまいます。そこで、大阪府と話をして、官民協働で、カウンセリングの見直しをはかってきました。 ジョブカフェの目的は、就職に関する自主活動を支援すること。ですから、最初に行う15分の「初回ガイダンス」は非常に重要です。ガイダンスで、情報の使い方、取捨選択の方法をレクチャーします。自分の就職活動に関する行動計画を立て、それに沿って活動を開始します。カウンセラーは、必要な時にタイムリーに解決できるようにスタンバイしています。ガイダンスの時間は15分ですから、完成度の高いヒアリングが求められますし、利用者もその中で自分のことを話さなければなりません。 従来の就職活動では、何か問題があったら足を止めてカウンセリングをし、問題を解決してから再スタートしていました。しかし、それでは現代のスピードに付いていけません。自主活動はどんどん押し進め、その中でぶつかる課題を足を止めずに解決。従来慣習的に1時間と言われていたカウンセリングを、20分に短縮しました。決して走る速度を緩めないのが今の就職活動です。そこに沿ったサービス設計をし、毎年見直して、その年の就職活動に合ったサービスを提供するというのが特長です。 |
■若者のためのカウンセリング |
![]() 当時は大変センセーショナルで、「今までの公共機関と違い、気軽に入ることができる」と話題になり、さまざまな取材を受けました。 今では、席が足りないという状況になっています。また、利用者の行動特性が絞られてきていて、午前中の来訪者が少なく、午後1時から5時の間に集中しています。午前中にセミナーを行うなど、時間帯による集客のバラツキを緩和するように工夫していますが、なかなか解決にはいたっていません。ゆったりと利用したい人は、午前中に来るのがいいでしょう。 若者は、相談はしたい。でも、頭ごなしに考えを否定されるのはいやだと思っています。まずは話を聞いて欲しい。理解して欲しい。その上でアドバイスされるのであれば、喜んで受け入れてくれます。 ジョブカフェのカウンセリングは、カウンセラーがブースで待っていて人を呼び込むスタイルではありません。カフェで待ち合わせしているように、利用者が好きな席に座って、カウンセラーが出向きます。座る位置も対面ではありません。45度の角度で座ります。正面に座ると、どうしても構えてしまいますから。入りやすい、相談しやすいという裏には、こういった仕組みがあるんです。 |
カウンセラーには、情報の中の事実を探し、事実の先の真実まで見て情報を提供するスキル、その人の過去や考え方、価値観を瞬時に見抜いて、必要な情報だけを求められたら提供するというスキルが必要です。
現場に戻ると、今度は次の葛藤が待っています。例えば、書類の添削一つにしても、このまま出せば、今のレベルでは、残念ながら通らないかも知れない。だから添削をしたい。しかし、添削をすればするほど、その人のものでなくなっていきます。どこまで添削するか、そのせめぎ合いで、また悩みが起きるんです。 このように、カウンセラーには常に葛藤がありますし、常に新しい情報を求めていかないといけません。 |
■学生の利用と学生向けサービス |
学生は、大学の就職活動関係の部署も十分に活用すべきです。ただ、ジョブカフェは学生だけが来ているわけではないので、例えばセミナーなどは、こちらの方が幅広い視点で行っています。どちらもうまく利用するのがいいでしょう。 一般の利用者は一年を通して来られますが、学生の場合は、時期が大きく関わってきます。就職活動シーズンになると、学生の利用が増えるので、時期に合わせたイベントやセミナーの開催を企画することになります。例えば、9月からエントリーシートの受け付けが始まりますが、その時にはエントリーシートの書き方セミナーとか。従来の履歴、職歴の経歴書というものではなくて、エントリーシートに特化して、学生が動く時期に合わせるということです。 インターンシップの斡旋もやっています。大学でなかなか行き先を見つけられなくて困っている人も多いようですが、なぜそうなっているのかというと、中小企業を選ばなかったりするからです。仲間内で競争心が芽生えて、インターンシップの時から有名な企業に行こうとします。でも、それは本末転倒。仕事自体を覚えるのが本来の目的です。中小企業でも大企業でも、仕事自体の感覚はそんなに変わるものではありませんから、チャンスがあれば、どこへでも行くべきです。 |
■就職への視野を広げる多彩なセミナー |
面接時に役立つ基本的なマナーや心得、ルールをレクチャーする「面接のマナーと基礎知識」。就職活動のスタート時に必要な知識や情報を提供する「就職活動入門」。適職診断を実施、仕事への興味・傾向を分析する「仕事興味発見」。巷に出回っているありきたりなノウハウ本的自己PRではなく、採用側の視点で地に足のついた自己PRを作成する「自己PRのポイント」。履歴書などを採用側視点で作成する「履歴書と職務経歴書作成のポイント」。 イベントは、ジョブカフェ大阪の伝統みたいなものになっています。もちろん、就職活動に結びつくイベントなのですが、セミナーとは違って、もっと広い視野と、新しい角度から仕事や業界を見ようというのがコンセプトです。どの業界のどのノウハウを持ってくるのかというところに縛りをつけず、広い視野で、この人からこういうところを吸収しようという発想で企画しています。 過去にいろいろなテーマのイベントを催しました。「危ない会社の見分け方」や「おいしい仕事への抜け道」など、一瞬ぎょっとするようなタイトルだったり、お話だったりします。 イベントは、視野を広げるためのツールです。学生が、自分がこういうのを受けたいと、目的を持って来ます。直接、すぐに役立つものではありませんが、聞いておくと知識が広がり、視野も広がる。就職活動に対して、多角的にものが見られるようになります。就職活動中は、非常に狭い視野で動くことが多いので、視野を広げるのに役立ってくれればいいいと思っています。 |
■就職活動を始める人へ |
「大切なのは、どこで働くかではなくて、誰と働くかなのです。会社はどこにしようとか、週休何日で、給与はいくら、大手なのか中小なのかということも、もちろん大切な要素ですが、最優先事項かというとそうでもない。入ってからが勝負、入ってからがスタートなんです」と、ジョブカフェ大阪統括リーダーの桐原清武さん。 「学校の受験と切り替える必要があるのです。受験では点を取るために一生懸命、勉強したと思うのですが、就職活動ではガラッと変えないといけません。筆記試験だけで採用する企業はありません」と、大阪府で若年層の雇用対策を担当する吉野隆之さん。「就職活動は、点数ではないのです。筆記試験は同じように通ったのに、Aさんは受かって、Bさんは落ちた。その明暗は人柄とか思いとか熱意とか、決して物差しでは測れない部分も多い。ジョブカフェはテクニックやノウハウだけを提供するのではなく、そんなアナログな“気づき”を与える唯一の就職支援センターでありたいと思っています」。 |
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